主要な研究テーマ
初期視覚段階における細胞集団の協調的な神経活動

 後頭部のV1野は網膜からの視覚情報が最初に届く部位であり、ここでの信号伝達の詳細を明らかにすることは脳視覚系を理解する上で重要です。
 V1野で画像は下の左の図のような”縞成分”に分解されて伝達されます。分解された縞成分は、V1野以降の段階で適切に統合されていくことで、われわれが目にするような物体の特徴が徐次々に再構成されていきますが、このような情報伝達のためには、V1野内部において、各縞成を伝達する細胞が整然と配置していることが重要と考えられています。  これまでは縞の向きにのみ注目されることが多かったのですが、本研究室では、幅(空間周波数)も含めて、縞の情報がV1野でどのような空間配置で伝達されているのか調べています。さらに、そのように配置した細胞集団が情報を伝達する時間過程を多数の細胞からの神経活動を同時記録することで、高い時間解像度で調べています。

近年の研究例を以下に示しています。


(左)各細胞のチューニングの時間変化 自動再生 (右) 細胞集団のチューニングする方位(縦軸)、空間周波数(横軸)の重ね書き.最適空間周波数が時間とともに多様化していきます。 マウス右クリックでで再生してください。



物体認識ニューラルネットワークの改善

畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は画像物体認識に高い性能を発揮します。 しかしながら様々な問題を抱えており、実用化されている部分はまだまだ多くないように思われます。 たとえば「犬」と判断するとき一体画像のどこを見て「犬」と判断したのか?目? 鼻? 耳? 毛並み?人間とは全く異なる特徴に注目して判断している可能性もあります。判断根拠を知るための十分な手法はまだ開発されていません。またネットワークの内部の動作様式もわかっていません。 これらを明らかにするための以下のようなテーマで研究を行なっています。 1. 判断根拠を可視化する新しい手法の研究 2. 判断根拠の可視化手法の評価 3. 内部ネットワークを調べる研究 1の新しい可視化手法を用いて可視化した結果を示しています。

その他
他にも以下のような様々なテーマで視覚に関連する研究を行っています。

・奥行き知覚とスパース符号化
・眼球運動計測システムの設計
・両眼視のニューラルネットワーク
・両眼視野闘争
・テクスチャーフィリングイン
・残像と輪郭の相互作用に関する研究